Shinの勉強箱

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多相流流量計(Multi-Phase Flow Meter,MPFM)について調べてみた

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こんにちは、Shinです。今日は多相流流量計(Multi-Phase Flow Meter,以下MPFM)について調べてみます。

そもそもこれは石油の生産時に使われる流量計であり、ひとつの革新的技術だといわれているものです。なかなか専門外だと理解が難しいので、ちょっとレポートを読みながら考えてみます。

MPFMとは?

いい感じのレポートがありました。

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/484/200211_021a.pdf

石油生産技術あるいは流量計測の専門家以外の技術者でも,「多相流流量計(Multi-Phase FlowMeter,以下MPFM)」という言葉に聞き覚えのある方は,多いのではないでしょうか?

これは油ガス田において生産される原油・ガス・水を,セパレーターで分離する前に各相の流量を計算する方式で,プロセスの単純化,設備・操業コストの低減,可載スペース・重量の低減などを可能にするもので,特に海洋においては開発・操業の効率化・コスト削減をはかる手段のひとつとして注目されているものです。 

なるほど。原油やガスに分離する前のグチャグチャな液体を分離する前に、「それらがどのぐらい含まれているか」という流量を計算できる機器、ということですね。確かにそれが事前にわかっていれば効率的に石油やガス生産できそう。

もうちょい詳しく見てみましょう。

油ガス層からの産出流体は,通常,原油(コンデンセート)―天然ガス―産出水からなる多相(Multiphase)であることが一般的である。

多相流流量計測とは,原油・ガス・水各々の流量(既知の圧力温度条件下での体積流量であることが一般的)を計測することを意味する。これらの流量(生産量)に関する情報は,油ガス田の油層及び生産管理上,重要かつ不可欠な情報であること言うまでもない。従来の生産方式では,この多相流体はセパレーターを用い油/ガス/水に分離され,その各相流量を各々計測することが一般的であった。しかしながら,海洋油ガス田の開発・操業効率化を目的として,セパレーターによる分離を用いず各相の流量を計測する「MPFM」が提案され,同技術の確立が切望されてきた。

うん、理解は間違ってなさそう。

MPFMの利点

メリットについてもみていきます。

前述した従来式の「セパレーター+各単相流量計測」と違い,MPFMを用いた生産方式の場合,図1中の「テストセパレータ+各単相(油+水+ガス)流量計」が多相流流量計に置き換えることができる(図2)。この場合,下記のようなメリットが考えられる。

1) 生産流体の処理プロセスの単純化
2) 設備コストの低減
3)自動データ取得による操業コストの低減
4)プラットホーム可載スペース及び重量の低減(海上トップサイド設置の場合)
5)テストライン及びプラットホーム上での新規テスト設備の不要による設備コストの低減(海底設置の場合)

以上のようにMPFMを設置することによって,様々なメリットが考えられるが,現状の機器の性能や信頼性に対する技術的リスクを考慮すると,僻地や連続モニタリングが必要なフィールド,インフラのない場所での坑井テスト等の特殊な場合を除いては,陸上フィールドにおけるMPFM適用の効果は一般的にあまり大きいとは言えない。しかしながら,海上トップサイド及び,海底設置の場合,陸上フィールドへの設置に比較してそのメリットは大きい。また,将来的にMPFMの性能が,会計用/取引用に充分耐えうるレベルになった場合,一切の海洋処理設備及びテスト設備を削減することが可能となり,その設備コストの低減は非常に大きなものとなり得る。

更に,図3に示すように,MPFMをテストセパレータに置き換えるのではなく,各坑井毎に設置する場合は,上記に加え更に下記のメリットが考えられる。

6)坑井テストの精度,頻度向上に伴う油層管理精度の向上
しかしながら,今後,MPFMのこのような適用を実現するためには,技術的信頼性の向上,機器の低価格化が必要である。

 なるほど、うまくいけばだいぶ大きな話ですね。ただ、技術的には難しそう。